第41回眼 噛まない子どもの視力が危ないって本当?!
執筆者眼育総研事務局
🖍 公開日:
2025.04.25
↺ 更新日:
2025.04.26
執筆者眼育総研事務局
2001年より子供の視力回復トレーニング教材の企画・販売や教室を運営現在はTVやYouTubeを見ながらトレーニングができるホームワックの製造・販売を行う

はじめに

前回まで3回に渡ってお送りしました”目のリラックス”シリーズは、予想をはるかに上回る反響を皆様より頂きました。

やはり、それだけ目に疲れを感じている人が多い世の中なのだな…と、改めて感じました。

私は日常生活の”ちょっとしたひと工夫”で、目のヒーリング!で、ご紹介した【あった目まくら】をお風呂で毎回実践しています。

ちょっと肌寒い日など、タオルを大きめに折りたたんで、首の後ろまで温めるようにすると気持ちいいですよ。ぜひお試しください。

さて、読売新聞の記事に「疲れ目リフレッシュ」という特集記事が連載されました。

「温かいおしぼりが疲れ目に効くことを、花王と鶴見大准教授の後藤英樹さんのチームが実証した研究がある。
1日約6時間パソコン作業に従事する16人を対象に、目のピントの調整力を調べたところ、月曜に仕事を始める前に比べ、金曜に仕事を終えた後は、ほぼ全員が約1割低下していた。

ところが約40度に温めた蒸しタオルを目に当てると、一気に月曜の始業前のレベルまで回復した。
また、ドライアイと診断された別の27人に、蒸しタオル1本を3分間当ててもらうと、5%の人の渇きの症状が改善。
5本使って10分間続けると、36%の人が改善した」

やはり、じんわりとした温かさは、目にリフレッシュ効果を与えてくれるのですね。
記事は、こう続いています。

「効果をもたらす理由の一つは、水晶体の厚みを調節して、ピントを合わせる毛様体筋のコリがほぐれるからだ。
近くを長時間見ていると毛様体筋の緊張が続く。こまめにほぐすと疲れが残りにくい。

もう一つの理由は、ドライアイの改善。下まぶたには、涙の表面を覆って蒸発を防ぐ油成分を分泌する『マイボーム腺』という小さな穴があり、その穴のつまりが、温熱で溶けて流れやすくなる」

毛様体筋の凝りは肩凝りと違い、揉んだりマッサージしたりしてほぐすことができません。

ですから、【あった目】(=あたため)効果を利用すると良いのですね。
記事にはまた、アドバイスとして、

「温かいおしぼりを作るには、濡らしたタオルを絞って電子レンジで加熱すると良い。
一方、冷たいおしぼりが良いのは、充血や物貰いがあるとき。温・冷のおしぼりを使い分けて目をいたわりたい」
とあります。

こちらも目に働きかけるリラックスアイテムとして、手軽で簡単、温・冷を兼ね備えたヒーリングアイピローがおススメです。

「スッキリ・じわっと…ほんのりした温かさ・冷たさで、家族で気軽に使える。」と、ご好評いただいております。

さて、今回は目先をガラリと変えて”えっ、そんなことも目のために大切だったの?!”という”目からウロコ”のお話です。

進む低年齢化

近年、子どもの視力低下が著しいことを、以前のメルマガでお話ししました。
止まらない!近視の低年齢化

わずか60年足らずの間に、近視の割合が約5倍に増加している現状を取り上げたわけですが――

ここ数年、文科省のデータには、幼稚園児のものが加わるようになりました。

それによると、幼稚園児の中での「裸眼視力1.0未満の者」の割合は、
昭和61年度で21.6%
    ・
    ・
    ・
平成18年度で24.1%
平成19年度で26.2%
となっています。

近視の低年齢化は、実に、幼稚園児にまで及んでいるということがよくわかります。

5歳で視力のピークが…

こういった状況を非常に深刻なものと受け止め、さまざまな面から研究を進めていた
人物の1人に、神戸山手大学の島田彰夫教授(2006年没)がいます。

1987年から若者の視力低下について調査をしていた島田教授は、視力の最も良い時期(ピーク)が、

60年代生まれの人では8~9歳
70年代生まれになると7~8歳となり
90年代生まれでは5歳

と、予想外の勢いで低年齢化していることを発表しました。

このことから、本来、子供にとっては視力の発達時期の真っただ中であるはずの5歳という年齢で、視力が上がりきらないうちに低下し始めるという現象が起こっていると島田教授は結論づけています。

また、その原因となっていることのひとつとして、意外なことが挙げられているのですが…

視力にも影響する、【○○力】とは?

幼少のうちに、視力が上がりきらないまま低下し始めるという現象。

その原因のひとつとなる、意外なこととは…
『”咬合力”(噛む力)の低下』なのです。

“噛む力”と視力の間に密接な関係がある――という意外な事実は、島田教授の研究をはじめとして、近年少しずつ明らかにされつつあります。

十勝歯科医師会の「口腔機能研究会」は、ホームページで下記のように掲載しています。

『視力の強弱は水晶体(目のレンズ)を調節して、遠近の焦点を合わせることで決まります。
そのレンズの調整をするのは毛様体筋で、毛様体筋の筋力低下が、低視力の大きな要因のひとつと考えられます。』

筋肉は、単独に一種類のものだけを鍛えることは難しい構造になっています。
ですから、鍛えるためには、連動する筋肉を同時に強化することが重要になるわけです。

毛様体筋に連動する筋肉は、顔面筋――
主に咀嚼(そしゃく)することに関係の深い顔の筋肉――です。

つまり、【よく噛む】ということが毛様体筋の筋力増強には効果的ということになります。

また十勝医師会では、
『最近の食事の傾向は、ファーストフード食品に代表されるように、やわらかくのみ込みやすい食品が増えています。
特に若者は飲料水などで、流し込むことが多くなる傾向があります。
噛む回数が少なくなると、顔面筋の筋力は弱まる傾向にあり、それが視力にも影響していると考えられています。』
とも掲載しています。

ほうれん草が「硬い」なんて…

島田教授もまた、

「咬合力が弱いと顔の咬筋が弱くなり、視力にも影響する」

と述べています。
教授が行った調査の結果、

学生297人を対象に行ったアンケート調査で、硬い食べ物を好む人の方が、軟らかい食べ物を好む人に比べて、視力が2倍程度良いという結果が出た

5歳時に、咬合力が1kgにも満たなかった子どもが中学生になったとき、視力は0.2だった一方、同時期の咬合力が10kgだった子どもが中学生になったときの視力は1.5だったということがわかったと報告されています。

因みに「咬合力」とは――あるデータによると、成人男性で70kg程度、成人女性では50kg程度というのが平均的だといいます。

この調査の中で、5歳時の咬合力が1kg未満だった子どもは、ほうれん草を”硬い食べ物”だと答えた…という話もあります。

参考書籍:無意識の不健康 島田彰夫著 ―農山漁村文化協会刊―

噛む力をつけるには?

考えてみると、現代の食生活では、柔らかい = おいしいという食感と味の関係が、すっかり出来上がってしまっているように感じます。

日本体育・学校健康センターが、全国の小中学生約1万3千人に対して行った調査結果によると、好きな料理のベスト5は、

  1. カレーライス
  2. ラーメン
  3. 焼肉
  4. 寿司
  5. ハンバーグ

となっています。
たしかに、噛みごたえのある料理は皆無です。

しっかり噛むことは、目のためにも重要であるというお話をしましたが――
きちんと“噛む”ためには、まず顎の筋肉と歯が強くなければなりません。

そのためには、永久歯が生え始める小学校入学くらいから10代の間を通して、しっかりとものを噛んでおくことが必要です。

つまり、“噛む”力は、”よく噛む”ことで養うしかないということなのですね。

【噛み力】(かみぢから)を鍛えよう

咬合力をつけることは、目のためにも大切な要素のひとつということがわかってきました。

ただし、咬合力というのは、日常で使われる用語ではなく、あまりピンとくる言葉ではありません。

そこで、この力の大切さを認識するために、
眼育総研では、【噛み力】(かみぢから)と命名しました。

それでは、【噛み力】(かみぢから)を鍛えるために有効な”食事のコツ”を、いくつかご紹介します。

まずは、歯ごたえのある食材を使った料理を食卓にのせてみてはいかがでしょうか。

具体的には、根菜やきのこ類、乾物などがおすすめです。
こんにゃくやイカ・タコなどの魚介類もいいですね。

その際、食材を大きめに切ると、より効果的です。

また、たまにはご飯を白米より噛みごたえのある玄米にしてみるのもいいでしょう。

味つけは、濃い味よりも薄めのほうがたくさん噛むのに適しています。

複数の食材を組み合わせたもの――たとえば、柔らかい食感の中に噛み応えのあるタコが入っているタコ焼きなど、いろいろな硬さが混じった食べ物も有効です。

「利き顎」を利用する、という手もあります。

「利き顎」とは、「利き手」と一緒で、スルメなどとびきり硬いものを噛むときに左右どちらで噛むか…で決まります。

その「利き顎」とは逆側の顎を、食事をする時に意識して使うようにすると良いのです。

そのほか何よりも大切なのは、食べながら「よく噛む」ことを意識するということです。

お子さんと一緒に食卓を囲みながら、

「よく噛んで食べようね」

「30回ずつ噛んで食べると消化が良くなって体にもいいし、噛む力が鍛えられると眼のためにも役立つよ」

…など、噛むことの大切さを話してあげるのも、とても良いことです。

余談ですが、よく噛むことの効用は、ほかにも多岐にわたります。

  • 虫歯を防ぐ
  • 歯並びを良くする
  • 知能の発達を助ける
  • 肥満を予防する
  • 情緒を安定させる

といったことにも、【噛み力】(かみぢから)が深く関係していることが、わかってきています。

まとめ

ますます進む、近視の低年齢化。
原因のひとつに“噛む力”の低下という指摘有り

【噛み力】(かみぢから)を鍛えることは、視覚機能の発達にも有効である可能性
【噛み力】(かみぢから)は、噛み応えのあるものを”噛む”ことで養う

【噛み力】(かみぢから)を鍛えるために有効な”食事のコツ”

  • 食材を大きめに切る
  • ご飯を噛みごたえのある玄米にしてみる
  • 味つけは、濃い味よりも薄味
  • 複数の食材を組み合わせ、いろいろな硬さを混ぜる
  • 「利き顎」の逆側を意識して使うようにする
  • 歯ごたえのある食材を使った料理
    →根菜やきのこ類、乾物、こんにゃくやイカ・タコなどの魚介類

食べながら「よく噛む」ことを意識することが大切
食卓を囲みながら、よく噛むことの大切さについて親子で話を

【噛み力】(かみぢから)を鍛えることも、視力低下防止の一助に…

日常生活からアプローチして、早期に視力低下をくい止めましょう。

「早期発見/早期対処」の機会を逃さないために…

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